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黒猫ぽんずと、三姉妹の物語──保護猫と私の暮らし

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猫と暮らして、やっとわかった気がする「家族」という感覚

台風の夜に出会った命

私はもともと犬派でした。子どもの頃からずっと家に犬がいて、猫を飼うなんて想像もしていませんでした。

けれど、ある夏の台風明けの日の、息子からの一本の連絡が、私の「猫との暮らし」の始まりになりました。

 

息子の勤め先の裏口に、濡れた段ボール

その中に、小さな黒猫が一匹。おそらく一晩中、嵐の中にさらされていたのでしょう。

私が黒猫がいいというと、息子は「でも、こいつ、指を出すと噛むんだよな」と言いました。でも、私はすぐに思いました。きっと、おなかをすかせて、母猫のおっぱいを探していたんだと。噛んでいたんじゃなくて、吸っていたのだと。

しかし、ほかの3匹の子も、連れて帰るといってる社員がいるというので、黒猫を選ばせてもらいました。もし、黒猫がすでに行先が決まっていたなら、どの猫でもよかったですけど……。

娘が名付けた名前です

私はその子を「ぽんず」と名づけました。亡くなった娘が、生前「猫を飼ったらこの名前にしたい」と言っていた名前です。

ぽんずは、驚くほど賢くて、穏やかな子でした。

すでに家にいた1歳の犬にも、まったく臆さず、威嚇もせず、ただそばに寄り添っていく。やがて、犬のクレートの中で一緒に眠り、ごはんも並んで食べるようになりました。

わんこに妹が増えた

やんちゃなさくらが、次女にゃんとして、うちの子に

その後、ぽんずが5歳のときに保護したのが「さくら」。そして、その1年後に、地域のボス猫に追いかけられていた子猫「福子」を緊急レスキュー。気づけば、我が家には3匹の猫が暮らすようになっていました。

さくらが2か月になったころ。この子こそ、「噛む子」でした。興奮して噛む、遊んで噛む、大好きすぎて愛情表現で噛む(笑)

 

福子との出会いは、今でも忘れられません。

ゴミ集積所でゴミをあさる姿を見かけるようになって、ずっと気になっていた子。その日、ボス猫に威嚇されて、逃げ惑いながらも、なぜか私の周りをぐるぐると走り出したのです。

逃げ場を失い、私の声を頼りに、なんと膝に飛び込んできました。驚いたボス猫も、私に抱かれた福子を見て、すっと表情を緩めて、鼻を合わせてあいさつしてきたのです。きっと「仲間」だと認めたのでしょう。

 

ぽんずの死

最初の家族だったぽんずは、8歳のときに突然亡くなりました。検査をしても病名はわからず、病院に一泊入院した翌日、あっという間のお別れでした。

今、ぽんずのお骨は仏壇の隣に置いてあります。お寺の住職が、「あなたが亡くなるときまで、そばに置いてあげなさい」と言ってくださって。私が旅立つときは、同じお寺にあるペット霊園に、一緒に眠らせてあげるつもりです。

三姉妹とイチゴの話など……

3匹の猫たちは、毛並みも模様もバラバラで、まるでいくつもの血が混じり合ってきた歴史を背負っているかのようです。けれど、三者三様の性格があって、それがまた魅力的です。人間の三姉妹にたとえると、思い出すのはいちごの話。

長女はテレビを見ながら、ひと粒ずつゆっくり食べる。

次女は、長女・自分・三女のいちごを、交互に手を出す。

長女は気づかず、三女は怒っていいつける。

そんなふうに、それぞれの性格があって…(笑)

けれど、どの子も、みんな愛おしい存在なのです。

小さな命も家族

猫たちと暮らす日々は、決して華やかではありません。掃除も増えるし、病院にもお金がかかる。心配も尽きません。

でも、それ以上に「信頼」と「つながり」を教えてくれた時間でもあります。
ぽんずが初めて指を吸ったあの日から、私は猫たちに、たくさんの愛を教えてもらっています。

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