あの駅前の蕎麦屋の味を、もう一度。
ひとり用の鍋焼きうどんの鍋を買いました。
理由は単純です。
子どもの頃、出前でよく食べていた駅前の蕎麦屋の味が、急に恋しくなったから。
懐かしい昭和のあの味を再現したい。

煮込みすぎ、少し伸び始めてる。
うどんつゆが少しこぼれて焦げてるような土鍋。
店の名前は思い出せないのに、店の人たちのことは鮮明に覚えている。
元お相撲さんの大きな息子さん。
幕内に入る前にやめた。
序二段にも上がってないんじゃないか?_とさえ思えるタイプ。
そして、相撲部屋をやめてしまったことを、街の人は誰も不思議に思わない。
「まあ、そうだろうな……」という空気だったこと_子供心に覚えてる。
温厚な人だったけど、まじめではなかったようだ。
いつも向かいのパチンコ屋にいて、出前が入るとお母さんが呼びに行く。

白髪まじりのお父さんが、ひとりで厨房を守っていた。
息子さんは、メニューも覚えない。
蕎麦も打たない。
競馬、競輪、パチンコ三昧。
正直、誰も店を継ぐとは思っていなかった。
でも、お父さんが亡くなったあと、数カ月して店は再開。
そして驚いたのは——
あの息子さんが、厨房に立ち、蕎麦を打ち、
しかも、先代そのままの味を出していたこと。
街のみんなが本当に驚いたらしい。
たまに「本日臨時休業(競輪)」なんて日もあったけど(笑)
それでも味は守っていた。
今日、その記憶を呼び戻す土鍋が届きました。
箱を開けた瞬間、
「そうそう、これこれ!」
思わず声が出た。

おひとりさまの鍋焼きうどん、近いうち作ります。昭和のあの味、出せるかな?
小さな土鍋を手にしているだけで、
昭和の駅前の空気や、湯気の立ちのぼる匂いまで蘇る。
あの店、まだあるのかな。
もしあの息子さんがご存命なら、もう70代くらいだろうか。
まずは自分で再現してみようと思います。
鍋焼きうどんと、あのカレーうどんを。
器がそろった。
あとは、味と食感を再現できるかな?
腕次第。




コメント