「60代、まだまだ人生の途中」という言葉を、最近よく目にします。雑誌でも、ブログでも、どこか励ますような調子で語られるフレーズです。けれど私は、それを聞くたびに、すぐ「そうだよね」と頷く気持ちにはなれません。
人は、いつどうなるか分からない。
今日の午後に何かが起きるかもしれないし、どんなに前向きに生きていたとしても、来年この世にいない可能性だってある。そんな当たり前で、少し残酷な現実を、どこかで見ないふりをして「まだまだこれから」と元気づける言葉だけを並べるのは、私にはどこか落ち着かないのです。
もちろん、悲観して生きたいわけではありません。
ただ、圧倒的に残り時間が減り始める年代に入った今こそ、一度立ち止まって人生を振り返る時間があってもいいと思うのです。いわば「脳内終活」や「こころの終活」とでも言えるような、小さな整理です。
これまで何をしてきたのか。
何を大切にしてきたのか。
そして、これから本当に大事にしたいものは何なのか。
そうやって自分の人生を静かに見直してみると、世間がよく言う「まだまだ人生の途中」という言葉とは少し違う景色が見えてきます。もっと地に足のついた、無理に明るくしなくてもいい前向きさです。
残り時間があることを知ったうえで、それでも今日をきちんと生きる。
60代とは、そんな覚悟のようなものが、少しずつ心の中に育ってくる年代なのかもしれません。

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